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平成30年度卒業式学長告辞

 卒業生、修了生の皆さん、卒業、修了おめでとうございます。学業を成し遂げ、この日を迎えられたことを、心からお祝いいたします。

 ただ今、2,081名の皆さんに、学位記と修了証を授与いたしました。この中には、74名の留学生も含まれています。これだけ多くの皆さんを社会に送り出すことができるのは、茨城大学にとって大きな喜びであり、また、誇りとするところであります。
 今日に至るまでには、それぞれ勉学や研究において大きな努力をされてきたと思います。この学位記と修了証の授与はその成果に対するものであり、皆さんにとって、存分に達成感に浸り、自らを誇らしく感じるに値するものであります。

 同時に、この日に至るまでに、皆さんが沢山の方々に支えられてきたことも忘れることはできません。指導教員をはじめ、多くの教職員や友人・先輩が皆さんの勉学を支援してきました。また、ご家族の皆様も、陰になり日向になり皆さんを支えてこられました。ご家族と関係者の皆様のお喜びもさぞかしと、心からお祝いを申し上げます。

 さて、皆さんは茨城大学での学園生活をどのように振り返っているでしょうか。
 私は、最近、本学の学生の活動が注目されることが大変多くなったと感じています。それは、皆さんが、地域や海外に出かけて活動を繰り広げる、あるいは、優れた学会発表によって学会賞を授与されるなど、様々なところで活躍してきたためです。こうした活躍は、決して偶然ではなく、現在進めている教育改革に結びついています。皆さんが在学した過去数年間、本学では、教育改革を進めてきました。

 まず、学部卒業生の皆さんが入学した平成27年に、ディプロマ・ポリシーを策定しました。ディプロマ・ポリシーとは、卒業までの教育目標のことであり、茨城大学で身につけるべき5つの能力を定めたものです。このディプロマ・ポリシーの発表は、「変化の激しい時代を生きる総合的な人間力を育成する」という本学の宣言でした。私は、皆さんが、卒業までの4年間、あるいは、大学院での2年間、博士後期課程の3年間に、多面的な能力を身につけたものと確信しています。皆さんには、このことに自信をもって、社会にこぎ出して欲しいと思います。

 次に、皆さんの未来に向けて、期待を述べたいと思います。それは、「社会の変化に対応できる人間として成長してほしい」ということです。21世紀という時代の特徴は、社会の変化の速さ、大きさにあります。この変化に柔軟に対応する力こそ、未来を生きる人間に必要とされているものだと考えています。

 現在の世界は、科学技術の進展のスピードが早く、第4次産業革命といわれるような産業のディジタル化、大転換も進んでいます。人工知能や自動運転のように、実現にはまだ10年も20年もかかると言われていたことが、すでに生活の中に入ってきています。こうしたディジタル技術革新によって、世界の姿は大きく変化していくでしょう。私達は、今、極めて大きな時代の転換点に立っているのです。

 しかし、このように自動化され、ロボット化が進む社会では、逆に、一層人間らしい一人一人の個性が重要になります。技術の進歩を多くの人々の幸福や持続的で健全な社会の構築に活かすには、技術では替えることのできない人間の価値観や判断力、人と人のふれあいが不可欠です。まさに、人間の深い思考や判断力、みずみずしい感性が問われることになります。

 このように変化が激しく、先の見通せない時代を生き抜く上で、2つのことが大切だと考えています。
 その第一は、一人一人が、「自分の軸」を持つことです。広い意味での専門性、あるいは個性と言えるものです。周りが変化するからこそ自分のよって立つものをしっかり持っていることは非常に重要です。広い知識やスキルに裏付けられた自分自身のものの見方や考え方ですが、皆さんが本学で学んだことは、この自分の軸を作っていくことだったのです。

 もう一つは、広い視野を持つことです。これは、変化する社会の動きを把握して、自らがその中のどこに立っているのかを見通す力です。激しい変化の中で自らを見失わないためには、広い視野が必要です。また、どんな仕事であれ、自分の専門だけで解決できる問題はありません。直面する問題の全体像を捉え、同僚や他の分野の人と協力して初めて解決できるものであり、そのためには、自らの専門の枠を超えて他の分野を理解し、協力することが必要です。

 この2つを備えた人は、T型人間と呼ばれます。アルファベットのTですが、横棒は広い視野を表し、縦棒は自分の軸となる専門性や個性を示します。これからの人生の中で、横棒を大きく広げ、縦棒を太く深くして、スケールの大きなT型人間になっていって欲しいと思います。そして、皆さんが、どのような場所で働き、生活するとしても、自らの指針を持ちつつ、その時々の変化に柔軟に対応できるリーダーとして成長し、よりよい社会の実現に向けて活躍されることを願っています。

 最後に、茨城大学は今年、創立70周年を迎えます。5月25日には「創立70周年記念式典・祝賀会」を催し、卒業生・修了生の皆さんと共に盛大に祝いたいと思います。また、これを契機に、さらに創立100周年に向かって、より一層、持続的な社会の実現に向けて貢献できる大学へと成長していきたいと考えています。私達は、今後さらに努力をつづけて、卒業生の誇りとなる大学になるべく前進していきます。茨城大学は、皆さんの母校です。その名の通り、皆さんが、うれしい時、悩んでいる時、どんな時でも訪ねて頂けるように、常に門戸を開いて待っています。

 皆さんの今後の人生でのご活躍とご多幸を心から祈念して、私の告辞といたします。

平成31年3月26日
茨城大学長 三村信男