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オウム事件の報道関係者110人のインタビュー結果を学生たちが報告

 茨城大学人文社会科学部の村上信夫ゼミ(メディア論)は、3月20日、東京都の江東区古石場文化センターで「オウム真理教事件とメディア―宗教報道はどうあるべきか―」と題した研究報告会・トークイベントを開催し、約60人が来場しました。

 同ゼミではメディアやジャーナリズムに関わる研究を行っており、2018年度は3年次の6人の学生がオウム真理教による一連の事件の報道に関わった記者・ジャーナリストのオーラルヒストリー研究に取り組み、昨年5月から110人にインタビューを実施しました。

 学生たちはいずれも地下鉄サリン事件よりも後に生まれた世代で、インタビューにあたってはまず事件前後における新聞・テレビ・雑誌の関連の報道の推移を調べました。インタビューでは、「オウム真理教を当時どう伝えたか」「信教の自由と報道の関係」「報道はオウムの暴走を止めることができたか」といった質問を行いました。その結果、ほとんどの記者が1990年までにはオウム真理教の存在を知っていたものの、4割が「まさか宗教法人がテロを起こすとは」と語っていたということです。また「報道はオウムの暴走を止められたかと思うか」という質問には、26%の記者が「止められたと思う」と答える一方で、十分に追及できなかった背景として「警察の捜査が及んでいなかった」「記事の訂正を求めたり訴訟をちらつかせるなどの法人の反応がバリアになっていたかも知れない」などと振り返っていました。

 調査結果を踏まえ同ゼミでは、「報道は抑止力になった。予兆、危険性を感じたら小さな予兆でも追及してほしい」と要求するとともに、報道の受け手である自分たちも「カルトと宗教の違いを学び、記事やニュースに対して敏感になり、建設的な発信をすること。また、自分の周囲の兆候を発信すること」が必要であると提言しました。

 後半は、オウム真理教の報道に第一線で取り組んできたジャーナリストの江川紹子氏や映画監督の森達也氏などを招いたパネルディスカッションを行いました。江川氏は、「『宗教報道』の問題として括ってしまうと宗教でない危険な団体が見えなくなる」、「報道だけに特化してしまっているが、当時のバラエティ番組や討論番組なども調査の対象にすべき」などと指摘しつつも、学生の提言については、「報道を受ける側もそれが事実なのかを受け止める習慣や、良い番組や記事を見たら『良かった』ということが大事」と賛同していました。

 同ゼミでは引き続きインタビューの結果を分析し、今後はテキストとして発信することなども検討しています。

(2018年3月25日)