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農学部・豊田淳准教授ら、精神的ストレスが腸管上皮の糖鎖構造を変化させることを発表

 本学農学部の豊田淳准教授は、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、産業技術総合研究所、東京大学との共同研究によって、精神的ストレスを負荷したマウスでは、小腸の内壁を覆う腸管上皮細胞において特定の糖鎖(フコシル化糖鎖)が減少することを初めて明らかにしました。豊田研究室では、社会的ストレスを利用したうつ病モデルマウスを提供しており、今回の研究成果は、精神的ストレスの負荷によって腸内細菌叢が変動するメカニズムの解明につながると期待されます。

 精神的ストレスは消化管の機能に悪影響をもたらすと共に、腸内細菌叢を変動させることがよく知られています。逆に、腹痛などの腸管の不快な感覚や、特定の腸内細菌の産生する代謝産物の刺激は脳に伝達され、ストレスの症状をさらに悪化させます(腸内細菌−腸−脳相関)。今回の研究では、精神的ストレスの指標として、腸管上皮細胞の糖鎖に着目しました。腸管上皮細胞は表面に様々な糖鎖を発現しています。この糖鎖は、腸内細菌や食品成分が腸管上皮細胞に付着する部位を提供しています。糖鎖を網羅的に解析するレクチンマイクロアレイ技術を用い、マウスの腸管上皮細胞の糖鎖を解析した結果、精神的ストレスのマウスモデルである社会的敗北ストレスの負荷により、末端にフコースが付加された糖鎖(フコシル化糖鎖)が減少することを明らかにしました。
フコシル化糖鎖の変動は腸内細菌叢の変動をもたらすことから、本研究の成果は、腸内細菌−腸−脳相関のメカニズムの解明につながると期待されます。

詳しくは資料(PDFファイル)をご覧ください。

【プレスリリース】精神的ストレスは腸管上皮の糖鎖構造を変化させる-マウスで確認、腸内細菌−腸−脳相関のメカニズムの解明に活用-

論文情報

Omata, Y., Aoki, R., Aoki-Yoshida, A., Hiemori, K., Toyoda, A., Tateno, H., Suzuki, C., & Takayama, Y. (2018) Reduced fucosylation in the distal intestinal epithelium of mice subjected to chronic social defeat stress. Scientific Reports 8, 13199 DOI: 10.1038/s41598-018-31403-8

今後の予定・期待

精神的ストレスが様々な腸管機能や腸内細菌叢に変動をもたらす詳細なメカニズムについては、明らかになっていません。糖鎖の末端に付加されるフコースは腸管上皮細胞における腸内細菌の付着部位であると共に、腸内細菌の栄養源としても利用されることが報告されており、フコシル化糖鎖の減少は腸内細菌叢の変動をもたらすと考えられます。本研究成果は、精神的ストレスの負荷によって腸内細菌叢が変動する「腸内細菌−腸−脳相関」のメカニズムの解明につながると期待されます。

(2018年10月24日)