千葉県市原市の火山灰層の分析から地球最後の磁場逆転を1万年以上修正
―理学部 岡田誠教授ら、極地研とともに調査

情報・システム研究機構国立極地研究所の菅沼悠介 助教、茨城大学理学部の岡田誠 教授、海洋研究開発機構の仙田量子 技術研究員らの研究グループが、千葉県市原市の地層中の火山灰層に含まれるウランと鉛の存在比を分析し、地球の最後の「磁場逆転」が約77万年前に起こったことを、これまでよりも信頼度の高い方法で決定しました。これは定説とされてきた年代より約1万年遅い値です。

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地球を大きな磁石に見立てたときのN極とS極の向きは、過去に何度も逆転を繰り返してきたことが明らかになっています(磁場逆転)。このうち、最後に起こったとされる地磁気の逆転は「ブルン-松山境界」と呼ばれ、海底堆積物の古地磁気記録を調べたこれまでの研究などから、その年代は約78.1万年前とされていました。一方、一部の研究者の間では、その年代について疑問も示されていました。

そこでこの研究では、基準試料の年代値がより正確に決められているU-Pb壊変系という手法を用いて、より信頼度の高い年代決定を行うこととしました。
千葉県市原市田淵の養老川岸の地層「千葉セクション」中に見つかった「白尾火山灰」 と呼ばれるブルン-松山境界付近の火山灰層から、ジルコン粒(ジルコニウムZrのケイ酸塩鉱物)を取り出し、ウラン(U)と鉛(Pb)の存在比を、国立極地研究所に設置されている高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMPⅡ)を用いて測定しました。その結果、地球磁場極性の逆転は、誤差を含めてもこれまでの定説より約1万年遅い約77万年前であることが分かりま した。さらに、地磁気逆転までの詳細な変化と、当時の海洋の酸素同位体比の変動を極めて高解像度で復元、世界の他地域での海底堆積物や南極氷床コアの分析から求められた年代と比較し、この新しいブルン-松山境界年代値が整合的であることを確認しました。

ブルン-松山境界の年代は、他の地層の年代決定の基準にもなっているため、今後この成果によって、恐竜が絶滅した白亜紀-古第三紀境界など様々な地層の年代が修正される可能性があります
また、今回研究を行った市原市田淵の養老川岸の地層「千葉セクション」は、第四紀更新世前期・中期境界の国際標準模式地(GSSP)の候補となっていますが、本研究の成果は千葉セクションの模式地選定に繋がる重要な研究成果となります。2016年夏にケープタウンで開かれる万国地質学会議で「千葉セクション」が国際標準模式地に選定されれば、日本初となり、その証として地層に「ゴールデンスパイク」(国際標準模式地を証徴する丸い金色の鋲)が打たれることになります。

この成果は、アメリカ地質学会発行のGeology誌オンライン版に掲載されました。

※本研究は極地研の先進プロジェクト研究「極地の過去から『地球システム』のメカニズムに迫る」の一環として実施されました。

【プレスリリース(pdf)】
地球最後の磁場逆転は従来説より1万年以上遅かった―千葉県市原市の火山灰層の超微量・高精度分析により判明(国立極地研究所、茨城大学、海洋研究開発機構 共同)