学長・校長 特別座談会 大学は地域の未来へ提言する いばらき地域づくり大学・高専コンソーシアム
Afterword
座談会を終えて
大学・高専が、教育を通じて必要とされる人づくり、地域の将来へ直接的に関わっていくのか。そのためには、茨城県のポテンシャルを見つめ直し、多角的な可能性を見いだし、それに根拠づける作業が必要だ。「いばらき地域づくり大学・高専コンソーシアム」の第一回学長・校長座談会は、その目標の一端を明確にする特別な議論となった。
- 三村
- 本日はありがとうございました。最後に、私がうかがっていて非常に印象的だったことを四点言いたいのですが、一つは、地方創生とか地域の課題に取り組むというのは、我々大学・高専にとって非常に重要な課題であること。その中身としては、やっぱり教育、人づくりですね。どういう人をつくっていくかという面と、それから直接的に地域の将来にどう貢献するかという二つがあって、それぞれ非常に深い議論をしていただきました。
二番目に、特に地域づくりの点では大学が時々の政策に左右されるのではなくて、もう少し長期的な地域社会のあり方に関する目標とか考え方を提言する役割を果たす必要があるのではないかと思います。昔大学はオピニオンリーダだったけれど、最近はそういう機能が若干弱くなっているように思います。政策サイドから出される数値目標は即物的だったり、あまりに経済寄りだったりする面があります。この座談会で出た意見というのは、人口の変化など長期的な問題がある中で、地域自体の生活や産業の健全さに関して我々はどういう目標を持つべきなのかということだったと思います。生活質(クオリティ・オブ・ライフ)にならって言えば、地域のクオリティ、クオリティ・オブ・リージョンのようなところから考える。将来我々はどういうような社会でなければならないかですが、先ほどの安全・安心の問題も含めて非常に重要な指摘があったと思います。
三番目に茨城自身の問題について言えば、いろいろな側面から見てポテンシャルは相当に高くて、経済の面はもちろんですが、多層的に我々もそれを認識する必要があるということです。
四番目は最後の話ですが、今日お話をうかがっていて、このコンソーシアムも単に「まち・ひと・しごと」の現下の課題にどう対応するかではなくて、もう少し長期的に教育機関としてのミッションはどういうものなのかを考えながら進める必要があると強く思いました。長期的な視点や、あるいは地域と国際性をどういうふうに結びつけるかというような視点など、いろいろな指摘があったと思います。
このコンソーシアムの運営は、運営会議などで具体的な企画を考えていただいているのですが、またこのような議論をさせていただいて、その時々の取り組みにとどまらず長期的なことを考えるような機会を持たせていただければと思います。今日はいろいろと長い間ありがとうございました。

- 特別座談会がおこなわれた茨城大学の図書館前で撮影
本コンテンツの内容は、2015年10月6日、茨城大学学長室で実施された座談会のようすを、web掲載用に編集したものです。