この作品は、院展の「聖地」と見なされた五浦の様子を再現している。天心旧居と六角堂を中心として、手前に観山と武山の住居、奥の崖の上に大観と春草の住居、さらに北側には美術院研究所が配されている。大観は、東京から買い付けに来る画商が隠健な画風の観山の家で引き返してしまったと売れなかった当時を振り返っている。
作者の塩出(しおで)英雄(1912〜1999)は、岡山県出身の院展の同人で、この作品のように、遠くからは全体の構成が、近づくと個々の木々が見分けられる曼荼羅図的な風景画で評価されていた。安田靫彦氏が彼にこの作品を制作するよう指示したのも、五浦という聖地を描くのにふさわしい作風と知悉してのことだっただろう。画中の短冊は安田氏の筆である。
|