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県内の高校生たちが太田学長と語り合い
ー学長室を訪問 大学への素朴な疑問など懇談

 7月29日に県教育委員会等との共催で開催したフォーラムでは、高大接続の取り組みを今後は高大「共創」へと発展させ、高等学校の関係者などとの率直な対話を進めていくことを太田寛行学長が宣言しました。それから約1週間後、県内の3つの高等学校から23年生の生徒たちが茨城大学の学長室を訪問。さっそく対話の場が設けられ、高校生たちからは大学に対する率直な疑問や思いが語られました。

 今回学長室を訪問してくれたのは、下妻第一高等学校(84日、生徒5人)、牛久栄進高等学校(85日、生徒5人)、水戸桜ノ牧高等学校(88日、生徒5人)の各高校のみなさんです。学長室で1時間ほど太田寛行学長と懇談したあと、図書館などを見学。最後は図書館内のライブラリーカフェで再び顔を合わせ、ゆったりとした時間を過ごしてもらいました。懇談には太田学長の他、副学長、各学部の学部長なども同席しました。

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 初めての訪問校は下妻一高。その最初の質問は、「茨城県が魅力度最下位ということがニュースで話題になります。茨城大学として魅力度を上げるためにどんな教育ができますか?」というものでした。なるほど、やはり地元のためにできること、という点には関心があるようです。太田学長は、「ランキングにはどうしても左右されがちだけれど、茨城県は工業・農業両面で恵まれているから、ランキングを意識しなくても自活できるところがあるよね」と語りかけた上で、学生や教員による地域と連携した活動の支援プログラムや、茨城大学が県内企業等との共同研究に多く取り組んでいる(東京を除く関東地方の大学でナンバー1!)ことを紹介。「そうした取り組みの結果として魅力度につながれば」と語りました。

 また、各校の生徒たちから、「SDGs」というキーワードが多く出てきたことも印象的でした。みなさん、「総合的な探究の時間」においてSDGs17のゴールに着目した学習に取り組んでいるようです。「私は『質の高い教育をみんなに』という目標について、識字率を高めるためにどうしたら良いかを考えたいです」「僕はジェンダーの問題に興味があるので、LGBTへの支援について教えてほしいです」といった形で、SDGsに照らし合わせた自身の関心と結び付けながら大学の取り組みを知りたい、という想いが伝わってきました。

 太田学長や同席した教員からは、SDGsと同じ2030年をターゲットとした「イバダイ・ビジョン2030」の内容や、障害のある学生へのサポートの事例、SDGsを意識した施設づくりの取り組みなどを紹介。一方、太田学長は、茨城大学が15年以上前から「サステイナビリティ学」の教育・研究を行っていることに触れて、「私たちは国連がSDGsを策定する前からずっとやってきたんだという意識があるし、今はSDGsの後を考えようという気持ちになっています」と語り、また、「みなさん自身はSDGsに向かってどうありたいと思う?」と質問するような場面もありました。

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 今回来訪されたみなさんの中には、723日に行われたオープンキャンパスに参加した人も何人かいたようです。一方で、現時点でやりたいことがひとつに定まらない、大学に入ってから分野を変えることは可能か、という質問も各校のみなさんから聞かれました。
 たとえば、情報系やプログラミングに興味があるという男子生徒は、「大学では専門的なことを学ぶと思うのですが、今自分のやりたいことが漠然としています。学部に関係ない職種に就職する人はどのぐらいいるでしょうか?」と質問。それに対し、太田学長は「大学はいろんな分野の知識が入るし、新しい学びに出会い、今まで以上に新しいことを知ることができるのが良いところ。変わっていくのは自然なことだし、目指すことが変わるという卒業生はたくさんいて、普通のことです」と応じました。

 また、同席した教員からは、「IT・データサイエンスというと、その部分だけを勉強したいという人がいるけれど、何のためかということが必ずある。新しいことを発見したいというモチベーションのもと、みんなデータを使う。そうしてデータ解析の技術を学んでエンジニアになっていくという例も結構あります。まずは、どういうデータを扱いたいかというベースをしっかりと持った方がいいと思います」というアドバイスもありました。

 より生活に密着した視点では、「高校生のアルバイトについてどう思いますか?」という質問も。太田学長は、現在茨城大学での導入を構想している「コーオプ教育」(学生が企業等で就業しながら学ぶスタイル)にも言及した上で、「アルバイトはリスクもある。自分の意志でアルバイトを始めるためには、リスクをどう認識して、どう準備するかが重要ですね。また、自分の専門性を活かせる働き方を知りたい、ということであれば、それはそれでタイミングも大事」と語りました。

MicrosoftTeams-image 03.jpgのサムネイル画像 図書館見学では、地質年代「チバニアン」
研究チームリーダーの岡田理学部長が解説

 一方、太田学長から高校生へ、「世の中ではみなさんの世代を『Z世代』などと呼び、社会意識が高いなどと言われていますが、みなさん自身はどうですか?」と尋ねる場面も。それに対しては、「自分とは違う姿が、『世代』として言葉先行で作られて定義されてしまっている感じがする」「正直荷が重い。勝手に期待されてしまっている感じ」と、高校生たちが正直な心境を語っていたのも印象的でした。

 さらに、大学に対する意見として、「受験の時期が近くなって大学のホームページを見ると、入試に関する情報はたくさん書いてあるけれど、『大学で学ぶのはこんなに楽しい!』というワクワクするような情報が少ない」といった指摘もありました。大学としては「まずは試験の情報をきちんと正確に伝えたい」と考えていただけに、"入試の時期こそワクワクする情報を"というコメントにはハッとさせられました。

MicrosoftTeams-image 04.jpg ライブラリーカフェでは学部長や副学部長と懇談

 オープンキャンパスにおいて対面の質問コーナーなどが設けられることはあるものの、こうして日々大学の運営をしているメンバーと、大学進学に興味をもっている高校生たちとが、こうして膝を突き合わせて語る機会はほとんどありません。高校生のみなさんも緊張した面持ちでしたが、実は学長や学部長たちもドキドキしていました。それでも語り合ううちに打ち解けてきて、最後のライブラリーカフェでの懇談では、お互いリラックスしている様子がうかがえました。この関係から、本当の「共創」は始まるのかも知れません。

 茨城大学では今後もこうした対話の場を積極的につくっていく予定です。

MicrosoftTeams-image 05.jpg 下妻第一高等学校のみなさん

MicrosoftTeams-image 06.jpg 牛久栄進高等学校のみなさん

MicrosoftTeams-image 07.jpg 水戸桜ノ牧高等学校のみなさん

(取材・構成:茨城大学広報室)