理工学研究科修了生 増川玄哉さんの論文が国際学術誌" Cretaceous Research"に掲載

 2018年3月に大学院理工学研究科博士前期課程を修了した増川玄哉さんの投稿論文が、Elsevier社の国際学術誌である"Cretaceous Research"(和訳「白亜紀研究」)91巻に掲載されました。7月下旬にオンラインで出版されたこの論文は、20ページにおよぶ本格的な原著論文です。

 この研究は、ひたちなか市の平礒〜磯合海岸に露出する白亜紀層(白亜系)の那珂湊層群から産出した化石群のうち、 ディディモセラス・アワジエンゼ(Didymoceras awajiense) に代表される、異常巻きアンモナイトの古生物学的記載を行い、さらに ディプロモセラス(Diplomoceras sp.)の成体の形態復元を行ったものです。那珂湊層群の化石群の特徴や産出層序(順序)も記載されており、日本各地の同時代の地層と比較(対比)して那珂湊層群の時代論を考察しています。この論文は、博士前期課程の修士論文の一部を別途英文論文として3月に投稿したものが、わずか5ヶ月で掲載されたものです。

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那珂湊層群の主要な異常巻アンモナイト3種の復元図

※本論文は、Elsevier社のWebサイトで閲覧・ダウンロード(有料)できます。

論文情報

  • 論文タイトル:Late Campanian-early Maastrichtian heteromorph-dominated ammonoid assemblages of the Nakaminato Group, central Honshu, Japan: biostratigraphic and paleontological implications
  • 著者:Genya Masukawa and Hisao Ando
  • 雑誌名:Cretaceous Research, Vol., 91, 362-381.
  • 発行:2018年7月

安藤寿男教授(共著者)のコメント

オームガイのように平面に丸く巻く通常のアンモナイトと違って、異常巻き(巻きが外れた立体的な巻き方の)アンモナイトは、死後、殻が壊れやすいので完全な形を示す化石が発掘されることは少ないといえます。那珂湊層群は異常巻きアンモナイトがよく産する白亜紀後期の地層として知られ、異常巻アンモナイトの著名な産地である北海道と淡路島の中間に位置することもあって、異常巻きアンモナイトの研究において重要な地域とされています。増川君の研究は、ディディモセラス・アワジエンゼの生態復元をしただけではなく、これまで謎に包まれていたDiplomoceras の全体像を、ひたちなか市平磯海岸の標本から復元した意義は大きく、クリップ状の殻の長さが1.5mを超える、地球史上最大の異常巻きアンモナイトであることを示した研究として注目されます。

関連リンク

茨城大学理学部地球環境科学コース 安藤研究室

 

(2018年10月4日)