人文社会科学部・川島佑介准教授が第44回藤田賞を受賞

 人文社会科学部の川島佑介准教授の著書『都市再開発から世界都市建設へ―ロンドン・ドックランズ再開発史研究』(2017年12月、吉田書店)が、第44回藤田賞を受賞しました。
 公益財団法人後藤・安田記念都市研究所が主催する藤田賞は、地方自治、地方財政および都市問題に関する研究を奨励することを目的に大学の研究者から成る選考委員会が前年度中に刊行・発表された著書・論文を審査し、原則として著書1点、論文3点以内の著作を表彰するものです。第44回は、2017年4月1日から2018年3月31日までの間に公刊された著書・論文を対象に審査が行われ、川島准教授の受賞が決定しました。2018年9月14日(金)、千代田区の後藤・安田記念都市研究所において授賞式が行われ、川島准教授に賞状が贈られました。

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小早川光郎理事長から賞状を受け取る川島佑介准教授(右)

著書要旨

  • 作品名:『都市再開発から世界都市建設へ―ロンドン・ドックランズ再開発史研究』
  • 発行:吉田書店 2017年12月
  • 著者:川島 佑介(茨城大学人文社会科学部法律経済学科准教授)
  • 要旨:
    ロンドン・ドックランズ地区の再開発研究においては、中央政府と、中央政府によって設立されて実際に再開発を担ったLDDC(London Docklands Development Corporation)が経済成長を重視し、地方自治体は旧住民の生活保障を重視したと論じられてきた。
    これに対して本書は、1980年代末で時期が区分され、前期には、先行研究の理解が妥当であるが、後期には、LDDCと地方自治体それぞれの政策選択が変化したことを示した。
    後期には、中央政府から地方自治体への財政援助も薄くなり、権限に関する介入も緩くなったため、経済成長をめぐる地方自治体間の都市間競争の圧力が高まり、後期の地方自治体は経済成長を重視せざるをえなくなった。他方で、後期のLDDCは二つの政策領域を重視するようになった。第一に、後期LDDCは、国際化の進展によってドックランズに流入してきた情報通信産業や金融管理産業をドックランズの新しい産業と位置付けることで、世界都市の建設を明確化していった。第二に、地方自治体が生活保障再生の能力と意欲を喪失したために、LDDCが旧住民の生活保障を担うことになった。
    本書は、ドックランズ再開発史という個別事例研究ではあるが、一般的なモデル構築と実証を踏まえ、中央地方関係と国際化の進展が、中央政府と地方自治体それぞれの政策選択に影響を与えていることを示した。

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川島佑介准教授と受賞作

選評(抜粋)

...授賞作に対して選考委員会は、現実に無理矢理に理論を当てはめるのでもなく、そうかといって理論化を放棄するわけでもないという真摯なスタンスから、中央政府と地方自治体との政府間関係のダイナミズムを見事に描いていると高く評価した。とりわけ二重国家論と都市間競争論との相反する指摘を、中央政府の統制を媒介として和解させ、「可変的都市間競争論」を導き出したことに称賛の声があがったのである。

※後藤・安田記念東京都市研究所『都市問題』第109巻(2018年10月号)の「選考経過報告」より抜粋

川島佑介准教授のコメント

イギリスだけではなく、日本にも多くの先行研究の蓄積があったから関心を抱くことができました。もちろん、先生方や事務員の皆様にも助けて頂きましたし、研究助成やデータベース、図書館など研究環境が整っていたことも不可欠でした。感謝しております。自分も面白い論文を書いて、若い人たちの知的好奇心をかき立てられることをはじめ、学問や教育に貢献していきたいと思います。

 

(2018年10月3日)