理学部・吉田大和助教が平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞

 理学部の吉田大和助教が、平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(若手科学者賞)を受賞しました。
 4月17日(火)、文部科学省において表彰式が行われ、吉田助教へ表彰状が贈られました。

吉田大和助教
吉田大和助教

 「科学技術分野の文部科学大臣表彰」は、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術の水準の向上に寄与することを目的に、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に対して、文部科学大臣から贈られるものです。
 「科学技術賞」「若手科学者賞」「創意工夫功労者賞」「創意工夫育成功労学校賞」の4賞のうち、吉田助教は「萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた」とされ、若手科学者賞が授与されました。

授賞研究

授賞研究:葉緑体とミトコンドリアの分裂装置の構造と機能の研究

 ヒトや植物を含む真核生物は、バクテリアには見られない複雑な細胞構造と多彩な細胞機能を持っていますが、このような真核生物の特徴は二つの細胞内小器官(オルガネラ)の機能によって生み出されています。「ミトコンドリア」は高エネルギー化合物の合成を通じて細胞に膨大なエネルギーを供給し、高度な運動機能や神経ネットワーク形成を可能にしました。また植物に特有のオルガネラである「葉緑体(色素体)」は太陽光を生物の生存に必須な有機化合物や酸素に変換することを可能とし、過去十億年に渡る葉緑体による光合成活動は地球上を緑の惑星へと変貌させました。
 真核細胞生物にとって極めて重要なオルガネラである「葉緑体」と「ミトコンドリア」は、約20億年前に宿主細胞に共生した古代のバクテリアを起源としています。そのため、これらのオルガネラは細胞内でゼロから創り出されることはできず、既存の「葉緑体」と「ミトコンドリア」が分裂することによってのみ増殖することができますが、その仕組みはこれまで明らかではありませんでした。吉田助教はこれまでの研究から、葉緑体とミトコンドリアが増殖する際に形成される『葉緑体分裂装置』と『ミトコンドリア分裂装置』の存在を明らかにしてきました。また光ピンセットを用いた顕微鏡操作解析や、ゲノム情報を基盤としたマルチオミクス解析によって、これらの分析装置の詳細な構造と分子動作機構、さらには構成タンパク質群を解明することに成功しました。一連の研究成果は「葉緑体」と「ミトコンドリア」が誕生した進化のプロセスを解明する糸口になると期待されています。

主要論文:

  • 「Isolated chloroplast division machinery can actively constrict after stretching」Science誌、vol.313、p1435~1438、2006年9月発表
  • 「Chloroplasts divide by contraction of bundle of nanofilaments consisting of polyglucan」Science誌、vol.329、p949~953、2010年8月発表
  • 「Chloroplast FtsZ assembles a contractible ring via tubulin-like hetero-polymerization」Nature Plants誌、vol.2、p16095、2016年6月発表
  • 「Glycosyltransferase MDR1 assembles a dividing ring for mitochondrial proliferation comprising polyglucan nanofilaments」Proc. Natl. Acad. Sci. USA誌、vol.114、p13284-13289、2017年11月発表

  

(2018年5月17日)