平成30年度茨城大学入学式 学長式辞

学長式辞 

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。

茨城大学を代表して、皆さんを心から歓迎致します。また、ご家族、関係者の皆様も、さぞお喜びのことと思い、お祝いを申し上げます。水戸の桜も今年は早く咲き始め、まさに春本番の美しいこの季節に、1,686名の新入生を迎えることができ、大変うれしく思っています。

さて、新入生の皆さんは、茨城大学での学生生活に対して、大きな期待を持っていることと思います。そこで、茨城大学ではどのような経験をしてほしいか、私の期待をお話ししたいと思います。

私達が生きているこの21世紀という時代は、かつてなく変化の大きく速い時代です。グローバリゼーションによって世界はますます一つにつながっていますし、科学技術はすさまじい勢いで進んでいます。人工知能や車の自動運転、ロボットの活用が、もう現実になってきています。また、温暖化のように地球環境問題も大きな課題になっています。

こうした世界で生きていくために、どのような学び方が必要でしょうか。私は、大学での学修の心構えとして「広い視野と深い専門性」を修得することを推奨したいと思っています。この変化の激しい社会では、広い視野と自らがよって立つ専門性の両方が必要であり、それを身につけるのが大学で学ぶ意味だと考えています。

この「広げることと深めること」について、少し長くなりますが、私の経験をお話しします。

私は、50年前の1968年に大学の理系学部に入学しました。その当時は、高度経済成長の時代でした。非常に活気のあった反面、水俣病や大気汚染が大きな社会問題になっていたため、私は環境工学を専攻することにしました。当時行ったのは、水処理のために使うパイプの中の水の流れ方の研究でした。来る日も来る日も地下の実験室で、パイプの中の流れを測定したのです。友人は何が面白いのだろうと思ったに違いありませんが、私はその測定にのめり込みました。その時学んだ流体力学が、その後の私の活動の「土台」になりました。

大学院修了後、海岸工学の研究室に移り、さらに、1990年頃に温暖化問題が世界の大問題になったことに触発されて、海面上昇や気候変動の影響と対策を研究するようになりました。この分野では、毎年、アジアの国々やツバルやフィジーといった南太平洋の小さな島国に出かけて調査をしました。結局、この気候変動問題が私の最大の研究テーマになったのですが、大学に入学した時には、全く想像できない地点に到達したわけです。しかし、私の研究のベースには、学生の時に暗い地下室で毎日パイプの流れを測りながら学んだ流体力学がありました。それを土台に、私は自信を持って、新しい分野に視野を広げて行くことができたと思っています。

さらに驚いたことに、外国で出会った沢山の研究者が、自分の研究は、化学から始まったとか、あるいは農業から始まった等といって、それぞれいくつもの分野を移りながら、地球環境問題という大きなテーマにたどり着いたと言っていました。

研究者にとどまらず、社会で働く人は誰でも、同じような経験を持つのだと思います。様々な部署や分野を経験してやがてより大きなテーマで仕事をするようになります。人は、職業生活を通じてこの「広げて深める」ことを実践していくのです。

大学を卒業した時の知識だけで、一生過ごすことは出来ません。社会に出てからも、別の分野の学修や新しい分野に取り組む挑戦が必要です。そのための土台を作ることが大学時代にやるべきことであり、その目標は「広い視野と深い専門性」の修得にあると私は考えています。

茨城大学では、そのための仕組みを沢山そろえています。専門教育と基盤教育の幅広い授業や地域や海外での研修など多彩な科目があります。また、最近では、学生がベンチャーのアイデアを競う学生ビジネスプランコンテストなども開催しています。これらの内容は、入学式の後のコミットメントセレモニーで詳しく紹介することにしています。

時代の変化に合わせて、皆さんの関心もどんどん広がり、変わっていくことと思います。その関心の広がりと変化は、皆さんをより大きな成長に導く力です。変わることを恐れず、この時代の流れに関心を持ち、その中で自分が何をしたいかをしっかり考えてほしいと思います。皆さんの中には、無限の可能性、ポテンシャルがあります。それが、茨城大学で花開くように心から期待をしています。

さて、今年は、24名の外国人留学生が入学しました。中には、まだ英語の方が分かり易いという人もいるので、簡単に英語で歓迎の言葉を述べたいと思います。

There are 24 foreign students attending this ceremony. Therefore, I would like to offer congratulations to them in English. On behalf of Ibaraki University, I am extending my sincere welcome to you all. We are very much pleased to have foreign students as new members of our university in this beautiful season, April. We are promoting the reform of university education to meet the demands from the society, and have prepared many courses which you can find attractive and suitable for your study. You are the students entering to the new Ibaraki University. I hope you can achieve the goals of your studies and enjoy the campus life at Ibaraki University.

本日は、多数の保護者の皆様にもご出席頂いています。最後になりますが、保護者の皆様にも一言お話をさせて頂きます。

先ほど来述べているように、本学では、専門的な知識やスキルとともに、課題解決能力やコミュニケーション力といった総合的な人間力を育成する教育改革を進めています。皆様方のお子様は、茨城大学を志望し希望をもって入学されました。この学生達と皆様の期待を実現すべく、学生が成長する教育を行い、社会に送り出すことをお約束いたします。

お子様方にはどうぞ、どのような学生生活をしているのか聞いてください。何か心配なことがあれば遠慮無く、それぞれの学部、学科の担当教員にお話し頂ければと思います。

それでは、以上をもって入学式における式辞と致します。今日は、本当におめでとうございました。

平成3045

茨城大学長
三村 信男