地球変動適応科学研究機関の堅田元喜講師ら、航空機モニタリングと数値シミュレーションを用いて山地の雲や霧がもたらした放射能汚染を解明

 地球変動適応科学研究機関(ICAS)の堅田元喜講師、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構および産業技術総合研究所の研究者や民間企業の技術者による共同チームが、航空機による広域観測と数値シミュレーションを組み合わせた解析を行い、2011年の福島第一原子力発電所事故の際に山地で引き起こされた放射能汚染のメカニズムを解明しました。

 福島第一原発事故時に大気中へと放出された放射性エアロゾル(セシウム137)は、東日本の範囲に落下(沈着)し、放射能汚染をもたらしました。この汚染は、上空に広がった雨雲に取り込まれて降雨とともに落ちる湿性沈着が原因であると考えられてきました。しかし、日本の大部分を占める山地の降雨観測データは気象庁の観測所や測候所がないために不十分であり、加えて山地の中腹で放射能が高くなるという湿性沈着では説明できない現象も観測されています。そこで、研究チームでは、航空機モニタリングとWSPEEDI-IIによる大気拡散シミュレーション、そして降雨の観測データを総合的に解析する手法をとり、その結果、山地においては霧や雲に取り込まれた放射性エアロゾルが陸上植生などに直接沈着する過程(霧水沈着)が地表汚染の引き金となっていたことを明らかにしました。この知見は、放射能汚染による健康影響評価の精度の向上に繋がるだけでなく、PM2.5などの大気汚染物質による地表汚染のメカニズムの解明(エアロゾル科学の発展)にも大きく貢献することが期待されます。

 本研究は総合的な環境学の専門誌である『Science of the Total Environment』618号(2018年3月15日発行)に掲載されるのに先立ち、オンライン版(2017年11月7日付け)に掲載されました。

詳しくは資料(PDFファイル)をご覧ください。
【プレスリリース】山地の雲や霧がもたらした放射能汚染を解明 -航空機モニタリングと数値シミュレーションによる解明―

本研究で示唆された放射性エアロゾルの沈着過程の模式的説明本研究で示唆された放射性エアロゾルの沈着過程の模式的説明

 

書誌情報

  • 雑誌名: Science of the Total Environment 618 (2018) 881-890
  • タイトル: Altitudinal characteristics of atmospheric deposition of aerosols in mountainous regions: Lessons from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident
  • 著者: Y. Sanada, G. Katata, N. Kaneyasu, C. Nakanishi, Y. Urabe, Y. Nishizawa
  • 所属: 日本原子力研究開発機構、茨城大学、産業技術総合研究所、株式会社NESI、応用地質株式会社、株式会社ヴィジブルインフォメーションセンター

(2018年3月7日)