『岡倉天心 五浦から世界へ―茨城大学国際岡倉天心シンポジウム2016』が刊行されました

 2016年9月に開催された「茨城大学 国際岡倉天心シンポジウム2016」の記録書籍がこのほど刊行されました。国内外の岡倉天心研究者による講演・パネルディスカッションの内容、2日目のツアー企画「五浦探訪」の報告のほか、六角堂の復興についての貴重な記録や五浦美術文化研究所の収蔵資料なども収録されており、天心の人生や思想における五浦時代の意義や代表作『茶の本』との関わりを多様なアプローチによって再確認できる1冊となりました。茨城大学社会連携センター・五浦美術文化研究所編『岡倉天心 五浦から世界へ―茨城大学国際岡倉天心シンポジウム2016』として思文閣出版から出版され、価格は3,200円(税別)です。

cover.jpg

 「茨城大学 国際岡倉天心シンポジウム2016」は、2016年9月3日、水戸市内のホテルで開催され、全国各地から約360人が参加しました。シンポジウムでは、国内からは、岡倉らが創設した日本美術院の代表理事で茨城県出身の日本画家・那波多目 功一 氏、前文化庁長官の青柳 正規氏をゲストに迎えました。また、海外からの登壇者として、岡倉が勤務した米国ボストン美術館で日本美術課長を務めているアン・ニシムラ・モース氏、日本ヴェーダーンタ協会会長で僧侶のスワーミー・メーダサーナンダ氏、マサチューセッツ州立大学准教授のヴィクトリア・ウェストン氏が、それぞれ岡倉の米国やインドといった海外での業績や文化交流の足跡を紹介しました。さらに、本学の岡倉天心研究者である小泉 晋弥 教授、清水 恵美子 准教授を加えた後半のパネルディスカッションでは、五浦美術文化研究所長を務める藤原 貞朗 教授の進行のもと、「岡倉がこれだけの文化交流を果たせたのはなぜか」「晩年の10年間における五浦とボストンのふたつの拠点の関係」という2つの課題について討議が行われました。議論を通じて、文化の力を信じ、行動した岡倉の姿が浮かび上がるとともに、これまで不遇の時代とも評されてきた五浦での10年間を、岡倉が最も国際的に活動した時代であり、その活動拠点として五浦を捉える視座が示されました。

 今回刊行された書籍では、これらの講演・シンポジウムの内容を図版等の資料とともに収録しました。さらに、翌9月4日に行われた、五浦の天心ゆかりの地を巡る「五浦探訪」についても、清水恵美子准教授が報告記事を記しています。

 そのほか、書籍の後半には、東日本大震災で消失した六角堂の復元プロジェクトの記録や、「天心を理解する10の遺品」と題して、茨城大学五浦美術文化研究所が所蔵する美術資料を抜粋して紹介しています。

関連リンク

(2018年2月19日)