矢野直峰助教らとJ-PARCのグループ、パルス中性子を用いたタンパク質単結晶の回折データを高精度に決定する方法を初めて実用化

 茨城大学フロンティア応用原子科学研究センターの矢野 直峰 助教らとJ-PARCセンターによる研究グループが、タンパク質単結晶のパルス中性子回折において、回折斑点強度をより高精度に決定するプロファイルフィッティング法を実用化することに成功しました。
 これは大強度陽子加速器施設・J-PARC(茨城県東海村)の物質・生命科学実験施設に茨城県が設置した「茨城県生命物質構造解析装置(iBIX)」で確立したものです。同装置では、強度を得るため非対称な波長領域をもつパルス中性子を使用していますが、回折斑点の強度決定についても、従来の積算法より高精度な方法の確立が求められていました。今回、研究グループでは、回折斑点の弱い強度も精度良く決定できる「プロファイルフィッティング法」を、タンパク質単結晶のパルス中性子回折で実用化することに、世界で初めて成功しました。実用化した方法は回折データ処理ソフトSTARGazerに実装され、ユーザーが容易に利用できるようになりました。
 これにより、タンパク質中の水素原子やプロトンの位置や存在についてより信頼性の高い情報を得ることができるようになり、エネルギー問題や創薬などの分野への貢献が期待されます。
 今回の成果は、2016年12月1日に英国科学雑誌「Nature」の姉妹誌でオープンアクセス誌の「Scientific Reports」に掲載されました。

詳しくはプレスリリースをご覧ください。
【プレスリリース(PDFファイル)】タンパク質単結晶の回折斑点強度を高精度に決定する手法 パルス中性子を用いた回折データで世界初の実用化 J-PARC内の茨城県生命物質構造解析装置iBIXにより確立

    図1 茨城県生命物質構造解析装置iBIX。30台の検出器と3軸ゴニオメーターを備えている。
    図2 横軸TOFの非対称な強度分布に関数を非線形最小二乗法でフィッティングした結果
    左) 対称なガウス関数でフィッティング
    右) 非対称なガウス関数と指数関数を畳込んだ関数でフィッティング

◆発表論文の情報
<論文タイトル>
Application of profile fitting method to neutron time-of-flight protein single crystal diffraction data collected at the iBIX
<著者名>
N. Yano, T. Yamada, T. Hosoya, T. Ohhara, I. Tanaka and K. Kusaka
<雑誌名>
Scientific Reports
<掲載番号>
Sci. Rep., 6, 36628; doi: 10.1038/srep36628, 2016
<掲載日>
2016年12月1日掲載

(2016年12月16日)