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震災の学びを未来へつなぐ 「茨大東北ボランティア*Fleur*」の軌跡

インタビュー

 各地に甚大な被害と衝撃をもたらした2011年の東日本大震災の発生から、まもなく8年が経とうとしている。今もなお5万人を超える人々が避難生活を送る一方で、住宅地の整備は進み、震災の記憶が徐々に風化してきているとの指摘もある。

 そんななか、「3.11」の経験を語り継ぎ、未来の減災・防災につなげようと活動している若者たちがいる。東日本大震災が発生した翌年の2012年、茨城大学の学生有志が立ち上げたボランティア団体「茨大東北ボランティア*Fleur*(フルール)」だ。

ボランティアバスの運行、宮城県石巻市旧大川小学校での景観整備の作業宮城県石巻市旧大川小学校での景観整備作業

 彼らは「被災地のために何かできることはないか」との想いから、水戸市のツアー会社が運行するボランティアバスに乗り込み、津波に襲われた宮城県で景観整備に汗を流した。学業の合間を縫って参加するこのボランティアバスツアー(通称「ボラバス」)は2013年に「茨城大学学生地域参画プロジェクト」に採択され、大学の支援のもと行われる学生プロジェクトとなった。関東・東北豪雨で大規模な水害が発生した常総市や、度重なる地震に苦しんだ熊本県など、活動範囲は他県にも及ぶ。当初はツアー会社の提供するプランに参加する形だったが、2017年からはツアー会社に協力を仰ぎ学生自らがボラバスを企画するようになった。現在は1年生から4年生までの48名が所属し、年間を通して東北地方を中心に活動している。

福島県南相馬市にて菜の花迷路制作福島県南相馬市での「菜の花迷路」制作

 震災発生当時10歳前後だった今の学生たちは、どんな想いでこの*Fleur*に参加したのだろうか。人文社会科学部2年の三宅彩さんと吉田彩乃さんに話を聞いた。

-*Fleur*を知ったきっかけは?

三宅さん:もともとボランティアに興味があったんですが、高校生が参加できるものはあまりなかったんですよね。同じ学部の先輩が*Fleur*に入っていて、誘ってもらったのをきっかけに参加しました。

吉田さん:私も同じです。体験で参加したときに、先輩たちの「震災を風化させてはいけない」という想いに胸を打たれて、私も入ろうと思いました。1年生で入ったので、今が2年目です。

-これまでの活動の中で、特に印象に残っていることは。

三宅さん:2017年に岩手県の陸前高田市長とお話しする機会があり、市長がおっしゃった「ここで見たことや体験したことから何かを学んで、それを持ち帰って誰かに伝えてほしい」という言葉がすごく衝撃的でした。それまでは「被災地で自分にできることは何か」と考えて活動していたんですが、その時から「自分が学ぶためにやるんだ」という気持ちに変わったんです。

吉田さん:初めて参加した2017年のボラバスが、特に印象に残っています。宮城県石巻市の大川小学校に行ったんですが、「この場所で、当時自分と同世代だった子どもたちが、寒さに凍えながら亡くなっていったんだ」と思うと本当にショックでした。傷だらけになりながら走って避難した方からも話を聞いて、テレビで見て知っていたことと現実との違いに愕然としました。

ibdaikh20190129_0008(左から)*Fleur*の三宅彩さんと吉田彩乃さん

-今、どんな想いで活動していますか。

三宅さん:何よりも「学びたい」という気持ちで活動しています。これまで何度もボランティアに参加しましたが、行くたびに感じること、知ることが違って、いつも多くのことを学びます。今後、社会や身の回りで何か大きなことが起きたときに、自分で行動できるようになりたいです。

吉田さん:大川小学校を訪ねるときは、初めて行った時の気持ちを大切にして作業をするようにしています。それぞれの取り組みの中で、自分の学びにつなげるとともに、被災地に寄り添った活動ができるよう心がけています。

-今後の目標を聞かせてください。

三宅さん:いろんな方の体験を聞き防災を学んできた立場として、それを伝える活動をしていきたいと思っています。まだ腹案だけれど、高校生や大学生を招いて防災を学ぶ場を作りたいですね。

吉田さん:*Fleur*が企画しているボラバスで参加者にアンケートをとると、とても好評なので、これからも続けていきたいです。私たちがやってきたことや学んできたことを伝えて、誰かが自分の大切な人の命を守るために、できることをしたいです。

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 「3.11」の記憶を継承し、命について考える場として、茨大東北ボランティア*Fleur*は、2019年2月10日に水戸キャンパスで講演会を開催する。震災により当時小学校6年生だった次女を亡くした佐藤敏郎氏(小さな命の意味を考える会代表/大川伝承の会共同代表)を講師に招き、当時の子どもたちが未曽有の危機にどう立ち向かったのか、私たちはそこから何を学ばなければならないのかを、参加者とともに考える。

東日本大震災からまもなく8年。
あの日のことを改めて見つめ直し、これからの未来につなげていきたい。

  

関連リンク

茨大生×東北プロジェクト【第2弾】「あの日を語ろう、未来を語ろう」(詳細

  • 日時:2019年2月10日(日)13:00~16:00
  • 会場:水戸キャンパス図書館3階ライブラリーホール
  • 対象:どなたでも参加可
  • 参加費:無料
  • 申込:応募フォームよりお申し込みください。

(取材・構成:茨城大学広報室)