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マーケティング論ゼミの合宿に高校生も参加!経営分析学ぶ高大連携の新たな形

レポート

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「立地から考えると、高校生などの利用が一番多いので、ファミリー層をターゲットにして客単価を上げるよりも、客数を上げるほうがいいのでは?」「混雑具合が外から見えると良い」

――大手ファストフード店の経営分析を発表した高校生に対し、大学生たちが次々に質問や意見をし、議論を深めていく。

 これは、8月29日(水)に行われた人文社会科学部の今村一真教授のゼミ合宿での一幕だ。同ゼミでは今年、毎年恒例の東京都内でのゼミ合宿に、初めて高校生を招待した。全国的にも珍しい、「高大連携合宿」とでもいえる取り組みだ。

 ゼミの専門はマーケティングだが、この合宿では毎年、会計学の知識を使った業界・企業の経営分析に挑戦する。財務諸表などの会計資料を見るのは初めてという学生がほとんどだが、キャッシュフローや投資有価証券の取得・売却状況などを調べて、今回でいえば「メガネ」「ウェブ・サービス」「人材サービス」「水産」といった業界の大手企業の動向を比較し、分析結果を発表する。ゲストに公認会計士の方を迎え、貴重なコメントもいただく。

「企業活動の表面ばかりに目が奪われがちですが、財務諸表を見るとその企業のいわば体力も見えるようになり、学生自身の見る目も明らかに変わってきます。就活への影響も大きいです」(今村教授)

photo2.jpgさまざまな業界の経営分析に挑む

 今回合宿に参加したのは、茨城県立那珂湊高等学校3年の平塚妙広さんと、同じく県立古河第一高等学校3年の大成翔也さん。いずれも商業科をもっている高校だ。

「高校で商業を勉強している高校生は、会計を本格的に学んだことがない大学生よりも、簿記などの知識はあるわけです。一方で学生たちはマーケティングへの興味を土台に、さまざまな実在の企業について分析をしていく。この両者が交流することは、お互いにとって刺激となり、得るものが大変大きいと思いますね」と今村教授は語る。

 ただし、今回大学生を前に発表を行った那珂湊高3年の平塚さんは、普通科の所属だ。「経営について興味があるんですけど、周りでそういう話ができる人がいなくて。今日は人生で初めてのプレゼンテーションです」と、発表前に語ってくれた。

photo3.jpg緊張しながらも堂々とした発表

 平塚さんが今回分析のターゲットにしたのは、自身がアルバイトをしている大手ファストフード店。県内の駅構内の店舗と、大都市圏の店舗の一日あたり利用者数や客単価などのデータを比較しながら、売上高を伸ばすための方策について考えた。

 平塚さんがアルバイトをしていて気になっていたのが、注文の列に並んでいたものの、待ち切れずに帰ってしまう顧客の存在。

「途中で諦めて帰ってしまうお客様にどう留まってもらうか。そのためにも、商品提供のスピードも含めて、クレームをしっかりと減らせるような対応が重要だと考えています」と平塚さん。そして、「笑顔を絶やさないこと。お客様の良い評価が波及していけば」と締めくくった。

 発表を聞いた大学生たちは、「高校3年生で受験も大変な中、しっかり研究としてまとめられていることに驚いた。経験に基づいた発表で勉強になった」といった称賛を贈った上で、冒頭に紹介したようなさまざまな質問や意見を率直にぶつけ、平塚さんも懸命に応じていた。

photo4.jpg学生たちとの議論も白熱

 プレゼンテーションを終え、平塚さんは、「緊張しましたが、すごく暖かい雰囲気で、普段学校ではできないいろんな話ができて本当に良かったです。大学で学びたいという気持ちが高まりました。将来は海外の企業の研究もしたいです」と笑顔で語ってくれた。

 今村教授は語る。

「将来的には、高校生による経営分析のプレゼンテーション大会を、大学生たちが運営する、ということもできればと構想しています。今回はその貴重な一歩となりました」

 大学生から高校生に一方的に何かを教えたり伝えたりするのではなく、同じテーマで集まって、相互に何かを吸収する。そしてそういう場を協働で作り上げていく。それこそが、高大連携の理想の形なのかも知れない。

(取材・構成/茨城大学広報室)