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LGBT当事者が学生たちに伝えたメッセージ―「多様な人を受け入れ、守り、支える強い心を」

レポート

 LGBTの啓発団体であるNPO法人・RAINBOW茨城の会長を務め、自身もレズビアンであることを公表している滑川友理さんが、人文社会科学部1年生100人以上が出席する授業で講演した。レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字をとった「LGBT」は、セクシャルマイノリティを表す言葉としてだいぶ定着してきて、関心のある学生も多く、当事者として生きている学生たちももちろんいると思う。
 「こういう性についての話題が苦手な人もいると思うけれど、気持ちを楽にして聞いてほしい」と明るく語った滑川さん。学生たちに伝えたメッセージとは?そして学生たちはどう受け止めたのだろう。

photo1.jpg 「LGBT当事者は日本の全人口の7.6%、13人に1人いると言われています。これは血液型のAB型や左利きの人と同じくらいの比率。この教室にも4~5人はいても不思議じゃない」

 こう述べる滑川さんの話に、学生たちは真剣に耳を傾ける。大学に入学して約10ヶ月。LGBTについて初めて直接当事者から聞いたという学生たちも少なくなかったはず。今までぼんやりとは知っていた学生も、体の性、心の性、性的指向による呼び名の違いなどは、意識していなかったかも知れない。

 学生たちには、「生まれたときの性別」「体」「心(性自認)」「好きになる対象(性的指向)」「見た目」といった複数の項目について、男性寄りか女性寄りかを考えてもらうワークシートが配られた。「デリケートな問いだから強制はしないけど、よかったらスケールに丸印をつけてみて。セクシュアリティというのが多様なものだというのがわかると思うし、自分で考え、自分自身のセクシュアリティを知ってほしい」と呼びかける。

photo2.jpg 滑川さんによれば、LGBTの原因は、胎児期など出生前の環境や遺伝子の影響によるものといわれているが、当事者にとっては原因が重要なのではなく、自分がLGBTとして幸福に生きられることが大切だという。現実にはセクシュアリティによるいじめや自殺が少なからず起こっている。
 実は滑川さんがNPOを立ち上げたのも、親しかったレズビアンの先輩の自殺がきっかけだったという。遺書には「明るく生きて」というメッセージが記されていた。滑川さんは、悲しみにくれるよりも、同じ苦しみを抱えた人が自分を否定することなく生きられる社会をつくることが自分の使命と考え、活動を始めた。 「みなさんが明日からできることは、周囲に当事者がいたら、とにかく否定しないでほしいということ。冗談でも、『変人』『変態』『変わっている』なんて言わないで。そうした言葉は一生心に残り、当事者を深く傷つける。理解しなくてもいいから、否定はしないであげてほしい」

 滑川さんは、学生たちにそう強く訴えかけた。

photo3.jpg 講演を聴いた学生たちはどう受け止めたのだろう。話を聞いてみた。

 「LGBTに対するイメージがなかった。滑川さんの話はわかりやすく、リアリティがあって、初めてどういうものか掴むことができた。社会にとって大きな課題なのに、今まで何も知らなかったことが恥ずかしい。ジェンダー論との違いなど、自分も疑問に思っていたので解決した。無知な人がかける一言が、良くも悪くも当事者に大きな影響を与えることを知った。自分と違う人を認めようと思う」

 「滑川さんを一目見たとき、男性だと思ったので、声を聞いて(女性の声なので)混乱した。外見で無意識に『こういうもの』と決めてかかっていたのかも。トイレの不自由さなど、当事者としての話を聞いて初めて、社会に障害があるのだと意識させられた。当事者の話を聞くのは初めてなので、新鮮だった」

 「LGBTという言葉は知っていたし、理解しているつもりだった。でも滑川さんの話を聞いてみて、実はどういうことなのかまるで知らなかったのだと気づいた」

 最後に、「多様な人を受け入れ、守り、支えることのできる強い心をもってほしい」と語った滑川さん。そのメッセージを、学生たちもしっかりと受け止めたようだ。

(講演は、2018年1月25日(木)に、人文社会科学部「国際学概論」科目の授業「ステレオタイプと偏見」(担当:横溝環准教授)の中で行われた。)

(取材・構成/茨城大学広報室)