Home Journal

校長&教頭は茨大生!"常識をぶち壊す"「サカサマ学校」に行ってみた

レポート

 常識だと思っていることをひっくり返す。「大人が教え、子どもが教わる」という関係を逆さまにする。―そんなコンセプトをもった「サカサマ学校」というプロジェクトを、茨大生が企画している。「校長」を務めるのが人文学部の川原田晴可さん、「教頭」は工学部の川原涼太郎さん。11月下旬に水戸市内で開講された「第二回サカサマ学校」の様子を覗いてみた。

sakasama1.jpg 「サカサマ学校」が開催されていたのは、水戸市泉町にあるレトロなビルの2階。中央にバーカウンターが設けられた元飲食店のこの小さな空間は、学生たちが運営している「カケルナニカ」という名前のブックカフェ&コミュニティスペースだ。

 古びた扉を開けると、詰襟の学生服を着た高校生たちの姿がまず目に入った。その他に大学生や社会人の姿も。みんな熱心にプリントを眺めている。高校生の隣に腰かけて手元を覗き込むと、昨年の参議院選挙と今年の衆議院選挙における各党の政策をテーマごとに比較した資料だった。

sakasama2.jpg「今は2時間目の『きょうの社会』という授業です。それぞれ関心のある切り口で各政党の政策を比較してみて、自分と一番近いものを選んでもらっています」と説明してくれたのは、この授業を担当した川原"教頭"。川原さんは、学生や社会人が政治について気軽に話題にできる場がないと感じていたそう。今回「サカサマ学校」で取り組んでみることにした。

 高校生たちは茨城県立緑岡高等学校の男子生徒たち。映像制作部の活動で「サカサマ学校」や「カケルナニカ」の活動のドキュメンタリーを撮影しがてら、ワークショップに参加しているそうだ。彼らは税制、安全保障、外交などの切り口で、それぞれの思いを語ってくれた。たとえば「日本はアメリカに頼らなくて済むように、アジアとの関係をもっと強化したらよい」と語ると、ほかの参加者からは「それで安全は守られる?」「アジアというと具体的にどの国?」などの質問が出され、議論が深まる。高校生たちに同行していた顧問の先生も「君たちが政治のことをこんなに考えていて語れるなんて驚いた」と話していた。

 替わって3時間目。「あなたの常識疑いませんか?」という質問紙が配られた。「生徒は先生の言うことを聞く」「大事なことはSNSとかメールではなく直接伝える」「パスタはフォークで食べる」...「じゃあ、どうしてパスタはフォークで食べるんだろうか?」とカウンターの向こうから問いかけが始まった。「別に疑う必要もなかった」「当たり前だと思っている」「それ以外の選択ができるほどの判断材料がない」などと語りあいを深めるうちに、「常識」と考えていたものが実は恣意的であることが浮かび上がってくる。

sakasama3.jpg「そもそも常識って何?とか、そういうこと考え出して語りはじめると、どんどん深みにはまっていく。そういうもやもやを共有できる場所って、大学の中にありそうでないんです」と"校長"の川原田さん。授業の最後、川原さんはサカサマ学校に集まったメンバーたちに語りかけた。「自分を一度ぶち壊してみてください。新しい世界が広がります」。

(取材・構成/茨城大学広報室)