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初開催「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2017」レポート(後編)

レポート

11月23日(木・祝)に茨城大学水戸キャンパスで行われた「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2017」。初めての試みだったにもかかわらず、中学生、高校生、大学生、大学院生から合計30のプランのエントリーがあった。この日は1次審査を通過した10組がプレゼンテーションに臨み、そのユニークなアイディアと熱意を語った。前篇・後編に分けて、ひとつずつ紹介している後篇。審査結果もあわせてお届けする。

⑦チャリメロ
 島村 和惟さん/茨城県立古河中等教育学校5年 他5名

kouhen1.jpg 思わず某インスタントラーメンの商品名を思い出さずにはいられない「チャリメロ」というワード。アイディアの正体は、自転車用のメロディロードだ。メロディロードというのは、道路の表面に細かい凹凸を施すことで、その上を車が走ると走行音が音楽になって聞こえる仕掛けのこと。これを自転車で実現させようという。
 会場では手作りの「チャリメロ」デモンストレーションも披露。こちらは思いのほか自転車が早く動き、音楽は実感できなかったが、会場は大盛り上がり。自動車道用のメロディロードのメーカーにも既に話をしているらしいので、技術的な面もクリアされるかも知れない。
「コンビニのCMソングをチャリメロに仕込んだら、思わずそのコンビニへ行きたくなってしまうはず。これは革新的な広告媒体になり得る」と島村さん。チャリメロが全国の自転車ロードに広がる楽しい社会を夢見ている。

⑧高齢者がわくわくできる健康寿命延伸サービス
 松田 賢征さん/筑波大学2年

kouhen2.jpg 日本は長寿国というイメージが強いが、松田さんは意外なデータを紹介した。平均寿命に対して健康寿命の占める割合が、他の先進国に比べるとだいぶ短いという。特に女性についてその傾向が顕著なようだ。
 そこで松田さんは、つくば市をエリアとして、「あそぶ」「つくる」「しゃべる」「かなでる」「たべる」という要素をもった総合型施設の運営を提案。VRなどの技術を使って、懐かしい体験や新しい体験ができるようなアクティビティも構想している。
 審査員からは、「ハコモノの施設をつくるとしたら初期投資がかかる。収入源をどう考えるか」と質問。松田さんは「利用者にはなるべく安く利用してもらい、健康関連の企業のスポンサーシップをメインの収入源にしたい」と回答。たとえば、ウェアラブル端末を開発・販売している企業などを想定しているとのこと。会場からは「利用者のデータを企業側にフィードバックできる仕組みなども考えられる」といったアドバイスがあった。

⑨海外旅行に安心と勇気を!!
 高橋 晃平さん/筑波大学3年 他3名

kouhen3.jpg 発表者の高橋さんは世界中を旅行することが趣味だという。最初にアフリカで撮った写真を見せてくれた。しかし周囲には、海外旅行に対して少なからず危険・不安を感じ、飛び出せずにいる人たちも多い。高橋さんたちが提案するのは、海外の危険度を可視化できるアプリ。それによって、危険・不安といった霧を晴らすというビジョンを掲げる。
 世界のさまざまな情報のハザード情報については、まずは外務省が公開しているデータを活用するとともに、世界中のバックパッカーたちがブログなどで紹介している情報も参照する。そのうちユーザーが増えていけば、ユーザーからの情報も充実してくるだろう。そうなれば、各国のホテルなど観光客向けのサービスからの広告収入も期待できる。
 現在、年間の海外旅行者数は世界で12億3500万人に上るという。彼らのターゲットはそのすべて。マーケットはとてつもなく大きい。現在のメンバーは茨城高専から筑波大へ編入した4人。技術への自信を基盤に、事業化をめざす。

⑩農業機械シェアサービス
 大川 翔史/茨城大学2年

kouhen4.jpg 農業従事者の平均年齢が上がり、新規就農の増加が求められる中、トラクターなどの農業機械の導入は、初期費用の面でもメンテナンスの面でもコストが大きく、農業を始める上でのひとつのハードルになってしまっている。リースなどの仕組みは既にあるが、大川さんが提案するのは、機械の貸し手も収入が得られるシェアサービス。農家は、機械を使わない時期はそれを貸し出し、収入を得ることができる。借り手は少ない費用で機械を使うことができる。大川さんのプランでは、貸し手側が自らメンテナンスを行えばさらに贈与金を渡す仕組みなども提案している。
 審査員からは「貸し手になることによって農家が新たな収入を得られるというのはおもしろい着眼点」と評価された。その一方で、近距離間においては機械使用の時期が重なってしまうが、遠距離間にすると今度は輸送コストが膨大になる、という指摘も。まずは小規模な機具から実証的に始めていっては、という提案もあった。

 以上、前篇で紹介した6組とあわせて10組のプランが紹介された。審査委員長を務めた茨城大学社会連携センターの影山俊男センター長は講評で、「学生らしいアイディアで、『社会をこうするんだ』という熱意を感じ、嬉しかった。序列をつけるのが辛い」と述べた上で、「『社会の中で共感性のあるもの』というものが、ひとつのキーワードになる」と語った。

 審査結果は以下のとおり。kouhen5.jpg

【最優秀賞/茨城大学長賞】
①ドローンを用いた動画撮影による地域活性化事業
 正田 真悟さん/茨城大学3年
〈正田さんのコメント〉評価してもらい嬉しく思う。ドローンの動画撮影は伸びている市場なので、実現性という点で評価してもらえたのではないか。ぜひ事業化を進めたい。

【優秀賞/茨城新聞社賞】
④6次産業型高校生株式会社による"農業と食"そして観光を融合させた茨城ビジネス戦略
 金澤 陽菜さん/茨城県立常陸大宮高等学校3年 他2名
〈金澤さんのコメント〉私だけではなくHIOKOのメンバーなどの協力があっての受賞。メンバーに感謝したい。

【優秀賞/筑波銀行賞】
③「常陸野ブランド」の創設による茨城県経済の活性化
 山内 新太さん/茨城県立水戸第一高等学校2年
〈山内さんのコメント〉高校生のアイディアを認めてもらえたことが嬉しい。何年かかるかわからないが、茨城の食物のブランド化を進めていきたい。

【優秀賞/常陽銀行賞】
⑤高齢者と若者の共同生活を茨城で
 竹内 涼さん/筑波大学1年 他1名
〈竹内さんのコメント〉高齢者と学生が一緒に住むというこのプランを始めるために、今回の受賞を契機にまずは住民票を移します!

 なお、プレゼンテーションを行った他の6組には敢闘賞が贈られた。
 また、会場ではクリッカーを使った参加者による投票も行われた。もっとも票を集めたのは、茨城県立常陸大宮高等学校の金澤陽菜さんたちのプランだった。金澤さんたちには茨城大学社会連携センターからダイドードリンコのドリンク1年分が贈呈された。

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 「コンテストで終わりなのではなく、これからがスタート。大学をはじめ関係者がサポートしていくのでぜひ相談してほしい。ブッシュアップして起業・創業につなげてくれることを期待している」と影山審査委員長。学生たちの熱気とユニークなアイディアに、地域の未来への明るい兆しを共有し、会場も穏やかな空気に満ちていた。参加者のみなさん、お疲れ様でした!

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(取材・構成/茨城大学広報室)