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初開催「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2017」レポート(前篇)

レポート

11月23日(木・祝)に茨城大学水戸キャンパスで行われた「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2017」。初めての試みだったにもかかわらず、中学生、高校生、大学生、大学院生から合計30のプランのエントリーがあった。この日は1次審査を通過した10組がプレゼンテーションに臨み、そのユニークなアイディアと熱意を語った。前篇・後篇に分けて、ひとつずつ紹介しよう。まずは前篇から。

①ドローンを用いた動画撮影による地域活性化事業
 正田 真悟さん/茨城大学3年

zenpen1.jpg 無人飛行機ドローンの活用が世界的に広がる中、正田さんは米国でパイロット免許を取得したことを契機に、ドローンを使った空撮などの活動を始めるようになった。その活動は行政機関からも注目され、災害時のドローンを使った情報収集活動についての協定を石岡市と締結している(名義は茨城大学航空技術研究会)。
 その正田さんが提案するのは、自治体のPRを目的としたドローン空撮の事業化だ。撮影・編集・納品をワンストップで対応でき、学生の「週末起業」という状況を活かして、競合他社より遥かに安くサービスを提供できる点が強みだ。「市町村の観光課へ直接売り込みたい」という。

②日本の職人と海外人を結ぶプラットフォーム事業
 安田 敬さん/筑波大学2年 他2名

zenpen2.jpg「私たちの世界は今後、文化間の争いに直面することになると思う。海外の文化と日本の文化をつなぐ取り組みが求められる」熱をこめてそう切り出した安田さんが提案したのは、海外出身者や海外在住者(安田さんは「海外人」と呼ぶ)が、日本の伝統工芸の職人仕事に就くことをサポートする事業だ。日本の職人とパートナー契約を結び、伝統工芸に関心をもつ海外人とのマッチングを図るとともに、言語、住居といった面の必要なサポートを行う。文化間の理解醸成とともに、国内における後継者不足の解決も図る。
「伝統工芸というその国の文化のアイデンティティの根源のところに外国人がたくさんいる、という状況がおもしろい」と安田さん。審査委員からも「着眼点が新しい」という評価があった。

③「常陸野ブランド」の創設による茨城県経済の活性化
 山内 新太さん/茨城県立水戸第一高等学校2年

zenpen3.jpg 茨城県の「魅力度ランキング」全国最下位という状況に対し、農業産出額全国2位という強みを活かした食のブランディングを図ろうというプラン。「京都には京野菜、神奈川には鎌倉野菜というブランドがある。茨城にはそういうブランドがなく、野菜大国のイメージを訴求できていない」と、提案者の山内さん。
 具体的には、県内農家を支援する団体と、独立を志望する料理人グループとをつなぎ、茨城県産の野菜を使うことを条件にして料理人に店舗や住居を提供するなどの方法によって、県野菜のイメージアップのための店舗拡大を図る。それらの多様な食を包むブランド名称が、「常陸野ブランド」だ。「常陸野やさいの普及から、『常陸野ブランド 食の町』を形成し、経済の活性化を図りたい」という山内さん。ちなみに自身が好きなのは、レンコンとメロンとのこと。

④6次産業型高校生株式会社による"農業と食"そして観光を融合させた茨城ビジネス戦略
 金澤 陽菜さん/茨城県立常陸大宮高等学校3年 他2名

zenpen4.jpg 学校の制服に身をまとった2人は、それぞれに「CEO」という肩書きを掲げている。常陸大宮高校が創設した「HIOKOホールディングス株式会社」傘下の事業を彼女たちは実際に経営しているのだ。ステージいっぱいに使い、会場を盛り上げながら自分たちの事業をプレゼンテーションする2人の姿は、まさに「経営者」然としながら「高校生」らしくもある。
 今回提案したのは、「高齢化・過疎化に対応した新たな地元食材を活かした『食提案』」と「茨城の基幹産業である農業の新たなパイロットモデルづくりと観光の推進」。前者は「ベジシェフ」という特殊な食器を使い、地元の食材を使った料理を高齢者などに配食するサービス。後者は、筑波大学のベンチャーと協力して、生産効率の高い源生林アシタバや白小豆といった作物の生産を広げていく事業。「農業体験などの機会を通じて若い人たちが県外に出ても戻ってこられるような地域にしたい」と熱く語った。

⑤高齢者と若者の共同生活を茨城で
 竹内 涼さん/筑波大学1年 他1名

zenpen5.jpg 独居の高齢者が増えている。片や、少しでも安い住居を探している大学生がいる。それならば大学生が高齢者の家に住み込んではどうか。竹内さんたちの提案は、シンプルでありながら、誰もやってみようとしなかったアイディアだ。
 「そんなのニーズがあるわけないと思いますよね」と切り出した竹内さん。しかし、周りで聞いてみたところ、驚くべきことに何人かは「住んでみたい」という意思を表明し、実際に今度宿泊体験をしてみるという。
 高齢者にとっての「命の保険」、学生にとっての生活の質の向上など、さまざまな効果を披露した上で、竹内さんがもっとも強調したのは「家族についての価値観を変える」という意志。「両者の生活リズムの違いをどう超えるか」という審査員の質問にも、「重要なのは互いに好きと思えるかどうか。結婚と一緒」と言ってのける。軽やかな言葉のベースにしっかりと横たわる、新たな価値への挑戦と覚悟が胸に響いた。

⑥おいしいミュージアムカフェ
 西村 瑠夏さん/筑波学院大学2年 他3名

zenpen6.jpg 筑波学院大学では、「地域デザイン学芸員」を育てているという。地域に散在するさまざまな魅力を見出し、キュレーションできる人材。発表者の西村さんもそんな地域デザイン学芸員だ。彼女たちの目から見れば、おいしい食物をつくる農家の方は「大地のアーティスト」ということになる。県内の「おいしい」を彼女たちの視点でピックアップし、丁寧に写真を撮り、ブックレットにし、五感で味わう。それが「おいしいミュージアムカフェ」構想だ。
 まずは来年2/21~3/10に筑波学院大学の附属図書館で実証実験を行う。「図書館をカフェにすることで、食を主人公とした新しい暮らしを体感できる」と西村さん。究極的に目指す目標は「みんながもっといい暮らしができること」だそうだ。

→後篇に続く

(取材・構成/茨城大学広報室)