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千葉県市原市の地層から読み解く地磁気の逆転―理学部・岡田誠教授

インタビュー

地磁気逆転の証拠となる千葉県養老川沿いの崖面の古地磁気記録に注目し、これまでの研究を上回る精度で地磁気逆転の年代を調査・分析する。その考察は、これまでの地層年代を一新する可能性を帯びている。

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 岡田誠教授は、地球の地質年代で約77万年から12万6千年前の年代名称を「チバニアン」と名づけ、その基準地として千葉県市原市の地層を国際地質科学連合に申請したことで脚光を浴びた研究グループの中心的な役割を果たす。その専門領域は「古地磁気」だ。地磁気とは、地球の磁気のこと。方位磁針のN極が真下(S極が真上)を向く地点が「北磁極」、その反対に位置するのは「南磁極」となるが、この二磁極、過去360万年のあいだだけを見ても、なんと逆転したことが11回もあると考えられている。岡田教授は、この地球の大異変をテーマに、地層中の岩石などに残留磁化として記録されている過去の地球の姿を追い求めている。

 詳細な磁気方位を復元する上で、海底ボーリングとくらべ試料方位の測定が正確に行える陸上地層はより適していると岡田教授は言う。その点、千葉の地層は打ってつけの調査地だ。

 地磁気の最後の逆転時期は、約77万年前。岡田教授によると、この最後の逆転に要する時間は「今まで信じられてきた期間よりも長い。数千年かかったと言われるが、実際は1万年くらいはかかったのではないか」と検証し、同時に、地磁気逆転の時の磁力の変化にも注目している。

IMG_3269_trim.jpg 岡田教授はまた、千葉の地層調査から、地球の環境変動にも着目する。地磁気が最後に逆転した時代は、間氷期。氷期と氷期の間の暖かい時代で、実は、今の時代によく似ている。いつから氷期が来るのか予測は困難だが、地層から読み解ける事実は、膨大で、かつ重要だ。「地層に関して世界の人が期待しているのは、考えられないくらい細かい歴史検証ができることですね。千葉の場合だと、平均で1千年2メートルの堆積ですから、人間のライフスパンで、あの時期の地球変動が復元できるわけです」と笑みを浮かべる。地層の価値と可能性をだれより信じて疑わない笑みだ。

岡田sub2.jpg【プロフィール】 岡田誠 理学部理学科 教授

1965年生まれ。1987年静岡大学理学部卒業。1992年束京大学理学系研究科地質学博士課程修了。博士(理学・東京大学)。1993年に 茨城大学に助手として着任。2001年に助教授。2015年から現職。研究分野は、古地磁気学、古海洋学など。

(茨城大学の広報誌『iUP』vol.10より)